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だるい・疲れやすいのは甲状腺?

だるさ・疲れやすさについて、はじめに知っておいていただきたい点は次の3つです。

  • 休んでも取れないだるさが数週間以上続く場合、甲状腺の働きの異常が隠れていることがあります
  • 甲状腺の状態は血液検査で調べられます。症状だけで見分けることはできません
  • 甲状腺機能低下症は頻度が高いにもかかわらず、しばしば見逃されています

甲状腺の病気はまれではありません

バセドウ病・橋本病・甲状腺結節の頻度を合計すると約10%に達し、日常の診療でしばしば遭遇する病気とされています。特別な病気ではなく、身近にある病気です。

ただし、この約10%には甲状腺のしこり(結節)も含まれています。しこりがあること自体は、甲状腺の働きの異常やだるさを意味しません。このページでは主に、甲状腺ホルモンの異常によるだるさを説明します。

それにもかかわらず見逃されやすいのは、症状が甲状腺に特有のものではないためです。だるい、疲れやすい、むくむ、太った、寒がりになった。どれも「年齢のせい」「疲れているだけ」で説明がついてしまいます。

休んでも改善しにくいだるさが、甲状腺が原因となっているかは、血液検査で調べられます

  • 休んでも取れないだるさが数週間以上続いている
  • だるさに加えて、眠気・むくみ・体重増加・寒がりがある
  • 逆に、疲れやすいのに体重が減る、心臓がどきどきする

これらにあてはまる場合、甲状腺の働きの異常が隠れていることがあります。甲状腺の状態は血液検査で調べることができます。

強い動悸、胸の痛み、息苦しさ、失神、意識がぼんやりする、急に手足に力が入らなくなる、症状が急に悪化するといった場合は、数週間待つ必要はありません。早めの医療機関受診を検討してください。

甲状腺ホルモンが少ないときの症状

甲状腺ホルモンが不足すると、全身の代謝が下がります。日本内科学会雑誌の総説には、甲状腺機能低下症を見逃さないためのチェックリストが示されています。患者さんの訴えとして、次のようなものが挙げられています。

  • 顔や手足が腫れぼったくなった、体重が増えた
  • 寒がりになった、冷え性になった
  • 便秘が続く、以前よりひどくなった
  • 疲れやすくなった、だるい
  • 食欲が落ちた
  • やたらと眠い、忘れっぽくなった、元気がない、意欲がわかない
  • 月経の量が多い、妊娠しにくい

甲状腺機能低下症では、「眠い」「体が重い」と感じることがあります。原因として最も多いのが橋本病です。詳しくは橋本病(慢性甲状腺炎)とは、で説明しています。

甲状腺ホルモンが多いときの症状

血液中の甲状腺ホルモンが多い状態を甲状腺中毒症といいます。日本甲状腺学会の「バセドウ病治療ガイドライン2019」では、体の部位ごとに次のように整理されています。

  • 代謝:体重が減る
  • 心臓:脈が速くなる、心臓がどきどきする
  • 皮膚:汗をたくさんかく、かゆみが出る
  • 精神:気分が変わりやすくなる、食欲が増す、眠れない
  • 消化器:下痢をする、排便の回数が増える
  • 神経・筋肉:手がふるえる、力が入りにくい。まれに、急に手足に力が入らなくなる発作が起こる

「疲れやすい」「力が入りにくい」と感じることがあり、階段の上り下りがつらくなることもあります。暑がりになる方も多くみられます。原因にはバセドウ病のほか、無痛性甲状腺炎や亜急性甲状腺炎などがあります。

それぞれの疾患については、バセドウ病、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎で説明しています。

受診を検討する目安

次のような場合は、一度検査を受けることをおすすめします。

  • だるさが数週間以上続いている
  • だるさに加えて、むくみ・体重の変化・寒がり・心臓がどきどきするなどの症状がある
  • 健康診断や人間ドックで甲状腺機能検査(TSH、FT4、FT3など)の異常を指摘された
  • 健診でコレステロールや肝機能の異常を指摘され、生活習慣を見直しても改善しない
  • ご家族に甲状腺の病気の方がいる

どの診療科を受診すればよいか迷われる場合は、甲状腺の不調は何科?のページもご覧ください。

検査でわかること

甲状腺機能の確認は血液検査が中心です。血液検査では、血液中の遊離型甲状腺ホルモンであるFT4・FT3と、下垂体から分泌されるTSHを組み合わせて甲状腺の働きを評価します。必要に応じて甲状腺に対する抗体(TPOAb, TgAb, TRAb)も調べます。

超音波検査(エコー)は、甲状腺の腫れやしこり、内部の変化を確認する必要がある場合に行います。痛みはなく、所要時間は約15分です。

当院では問診と診察のうえ、必要な検査を当日に行っています。甲状腺ホルモンと甲状腺自己抗体(TPOAb, TgAb, TRAb)の迅速検査を院内で行っており、採血後約1時間で結果をご説明します。

TSHだけが高いとき(潜在性甲状腺機能低下症)

血液検査でTSHは高いのに、甲状腺ホルモン(FT4)は正常という結果になることがあります。これを潜在性甲状腺機能低下症といいます。

この状態でだるさを感じる方もいれば、まったく症状のない方もいます。ただし症状は甲状腺に特有のものではないため、TSHが少し高いというだけで、だるさの原因が甲状腺だと決めることはできません。また、すべての方がすぐに薬を必要とするわけではありません。TSHの高さが続いているか、症状の有無、年齢、心臓の病気、妊娠の予定などを確認したうえで、治療するか経過をみるかを決めます。

大切なのは、一度の検査だけで判断しないことです。TSHは体調や測定の時期によっても動くため、数週間から数か月あけて再検査し、高い状態が続いているかを確かめます。

診察で手がかりになる変化

甲状腺機能低下症では、ご本人が気づきにくい変化が体に現れることがあります。診察のときに次のような点を確認します。

  • 顔がむくんで表情が乏しくなる、まぶたが腫れぼったい、眉毛の外側が薄くなる
  • 髪が減る、まつげが抜ける
  • 動作や話し方がゆっくりになる、声が低くなる、かすれる
  • 皮膚が乾燥する
  • 爪がスプーンのように反る、爪が浮いてくる
  • アキレス腱の反射で、戻りが遅くなる
  • 手足がむくむが、指で押しても跡が残りにくい

これらの変化は、甲状腺以外の原因でも起こります。一つの所見だけで甲状腺機能低下症と判断することはできず、診察と血液検査を組み合わせて確認します。ただし、だるさという訴えだけでは判断が難しいときに、検査へ進む手がかりになります。

健診や一般の検査に現れる変化

健康診断で甲状腺の検査項目がなくても、ほかの項目に変化が現れていることがあります。甲状腺機能低下症では次のような結果がみられます。

  • コレステロールが高い(総コレステロール、LDLコレステロール)
  • 貧血(多くは赤血球の大きさが正常な貧血)
  • 肝機能の数値(AST、ALT)が高い
  • 筋肉の酵素(CK)が高い、LDHが高い
  • 腎機能の数値(クレアチニン)が軽度に高い
  • 心電図で脈が遅い

これらの検査値の異常には、それぞれ多くの原因があります。コレステロールや肝機能、貧血の異常だけで甲状腺の病気と決まるわけではありません。ただし「コレステロールが高い」と言われて食事や運動に取り組んでも下がらない場合、背景に甲状腺機能低下症があることがあります。だるさ、寒がり、むくみなどもある方は、甲状腺の検査を受けてみることをおすすめします。

健診の数値をどう読むか

橋本病のように甲状腺そのものが原因となる病気では、TSHが早い段階から変化します。甲状腺ホルモンがわずかに足りなくなると、脳の下垂体がそれを補おうとしてTSHを増やすため、FT4より先にTSHが動きます。健診で甲状腺の項目がある場合、まずTSHを見ます。

ただしこれは、脳(視床下部・下垂体)と甲状腺の間のやりとりが保たれている場合の話です。下垂体そのものに原因がある場合などは、TSHだけで判断することはできません。

ただし、TSHやFT4の測定値には以前から施設間のばらつきがあることが指摘されています。検査を行う施設や試薬によって、基準範囲そのものが少しずつ違います。

これは「検査があてにならない」という意味ではありません。検査結果は、その結果票に記載されている基準範囲と照らして判断します。ただし小さな変化を追うときには、以前の結果と並べて見ることが大切です。健診や以前かかった医療機関の結果票は、ぜひお持ちください。

なぜ甲状腺の異常でだるくなるのか

甲状腺ホルモンは、代謝や心臓、筋肉など全身の働きに関わっています。

甲状腺ホルモンが少ないとき
全身の働きがゆっくりになるため、眠気、体の重さ、寒がり、筋力の低下などが現れることがあります。

血液中の甲状腺ホルモンが多いとき
代謝が高まり、動悸や発汗が起こる一方で、体が消耗し、疲れやすさや筋力の低下を感じることがあります。

甲状腺機能の異常によるだるさは休んでも改善しにくいことがありますが、症状だけで原因を見分けることはできません。

なぜ見逃されやすいのか

日本内科学会雑誌の総説は、甲状腺機能低下症について「頻度は高いものの、しばしば見逃されている」と述べ、その理由を次のように挙げています。

  • ご本人からの訴えが少ない。意欲が低下するため、症状を積極的に伝えにくくなります
  • 甲状腺が縮んで触れないことも多い。首の腫れがないから違う、とは言えません
  • むくみや倦怠感は、甲状腺に特有の症状ではない

精神面の症状が前に出ると、甲状腺機能低下症に気づかれにくくなります。気分の落ち込みや意欲の低下が続く場合も、ほかの症状や経過に応じて甲状腺の働きを確認することがあります。

加えて、次のような事情も重なります。

  • ゆっくり進む:数か月から数年かけて進むため、本人も周りの人も変化に気づきにくくなります
  • ほかの理由で説明がついてしまう:「年齢のせい」「仕事が忙しいから」「ストレスだろう」と考えて、そのままになりがちです
  • 健診の標準的な項目に入っていない:一般的な健康診断では甲状腺の検査を行わないことが多くあります
  • 別の診断がつくと、そこで止まる:更年期障害や貧血といった理由で説明がつくと、原因がはっきりしたと考えられ、甲状腺まで調べる機会がないこともあります

更年期・貧血・うつ病などとの違い

ここに挙げる状態は症状が大きく重なり、複数の原因が同時に関わることもあります。下の表はあくまで傾向の違いであり、症状だけで診断することはできません。甲状腺機能や貧血の有無は血液検査で確認し、更年期に伴う症状やうつ病などについては、年齢、月経の状況、症状の経過、診察結果をあわせて判断します。

状態 だるさ以外に見られやすい症状
甲状腺機能低下症 寒がりになる、顔や手足がむくむ、体重が増える、便秘しやすくなる、皮膚がかさかさになる、声が低くなる、髪が抜けやすくなる
甲状腺中毒症(甲状腺ホルモンが多い状態) 暑がりになる、汗をたくさんかく、心臓がどきどきする、手がふるえる、体重が減る、下痢をする、イライラする
更年期障害 顔がほてる、急に汗が出る、月経が不順になる、気分が変わりやすくなる
貧血 動いたときに息が切れる、立ちくらみがする、顔色が悪くなる
うつ病・抑うつ状態 気分の落ち込みが続く、これまで楽しめたことに興味がわかなくなる

特に更年期障害は見分けがつきにくく、甲状腺ホルモンが多い状態とも少ない状態とも症状が重なります。汗が増えて心臓がどきどきする場合、だるさやむくみが続く場合、いずれも紛らわしくなります。起こりやすい年代も重なります。

また、甲状腺機能低下症では貧血をともなうことがあります。「貧血と言われたから甲状腺は関係ない」とは限りません。

なお、だるさの原因は甲状腺だけではありません。ここに挙げた以外の病気が関わっていることもあります。

年代ごとの関わり方は年代・ライフステージ別にみる甲状腺の病気にまとめています。

薬の影響で甲状腺の働きが変わることもあります

服用している薬の影響で甲状腺の働きが低下したり、甲状腺ホルモン剤の必要量が変わったりすることがあります。次のような薬が知られています。

  • 不整脈の薬(アミオダロン)
  • 気分の安定に使う薬(炭酸リチウム)
  • インターフェロン
  • 一部のがんの薬(チロシンキナーゼ阻害薬、免疫チェックポイント阻害薬)
  • 甲状腺ホルモンを抑える薬(チアマゾール〈メルカゾール〉、プロピルチオウラシル、ヨウ化カリウム)
  • 一部の女性ホルモン製剤や、不妊治療などに使うホルモン剤

対応は薬によって異なります。原因となる薬を減らしたり変更したりできる場合もあれば、もとの病気の治療のために中止できない場合もあります。中止できない場合でも、必要に応じて甲状腺ホルモン剤を補います。もとの病気の治療も含めて、どう対応するかを決めます。

服用中の薬は自己判断で中止しないでください。処方薬・市販薬・サプリメントは、受診のときにお知らせください。

薬やサプリメントが検査の測定そのものに影響することもあります。この点は甲状腺の検査値と症状・経過が合わないときで説明しています。

ヨウ素の摂りすぎが原因のこともあります

ヨウ素を摂りすぎると、一時的に甲状腺の働きが低下することがあります。ヨウ素は昆布、わかめ、ひじき、のりなどの海藻類のほか、うがい薬やのどスプレー、サプリメント、CT検査などで使うヨウ素を含む造影剤にも含まれています。

昆布だしや昆布加工品を毎日とっている、ヨウ素入りのうがい薬を長く使っているといった場合は、受診のときにお知らせください。ヨウ素の摂りすぎが疑われるときは、医師の指示のもとで2週間程度ヨウ素を控え、あらためて血液検査で確認します。この状態は一時的であることが多く、控えるだけで甲状腺の働きが戻ることもあります。

日常でどこまで気をつければよいかはヨウ素と甲状腺|制限が要る人、要らない人でまとめています。

産後にだるさが続くとき

出産のあと、数か月してから甲状腺の働きが変化することがあります。日本甲状腺学会の診断ガイドラインには、無痛性甲状腺炎が出産後数か月でしばしば発症すると記されています。

甲状腺に蓄えられていたホルモンが漏れ出して、一時的に動悸や汗、体重減少が現れ、そのあと反対に甲状腺の働きが低下してだるさやむくみが出る、という経過をたどることがあります。育児による疲れと区別がつきにくく、見過ごされやすい時期です。

米国甲状腺学会(ATA)の2026年の妊娠関連ガイドラインも、この点に触れています。産後の甲状腺の炎症のあと、甲状腺の働きがいったん正常に戻った方も、その1年後にあらためて検査を受けることがすすめられています。1年を待たずに、だるさ、むくみ、寒がりなどの症状が現れたときにも検査します。

甲状腺ホルモン剤を使わずに回復した方も対象です。いったん回復しても、あとから甲状腺機能低下症になることがあるためです。なお、甲状腺の働きがまだ落ち着いていない間は、状態に応じてより短い間隔で確認します。

産後のだるさが長く続く場合や、以前に甲状腺の異常を指摘されたことがある場合は、一度ご相談ください。

どのような方で検査を考えるか

甲状腺の病気は女性に多く、橋本病やバセドウ病も女性に多くみられます。ただし、男性にも起こるため、性別だけで甲状腺の病気を除外することはできません。

次のような方は、だるさが続くときに甲状腺を調べておく意味があります。

  • ご家族に甲状腺の病気の方がいる
  • 過去に甲状腺の手術、首への放射線治療、アイソトープ治療を受けた(以前の治療歴も受診のときにお知らせください)
  • 甲状腺ホルモン剤を処方されていたが、途中でやめている
  • 出産後1年以内である

なお、橋本病や甲状腺に対する抗体が見つかっても、甲状腺機能が正常で治療を必要としない場合があります。

治療は原因によって異なります

持続する甲状腺機能低下症
不足している甲状腺ホルモンを、甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)で補います。飲み始めると約1〜2か月で甲状腺ホルモン値が正常になり、自覚症状もなくなります。飲み続けていれば、健康な人と変わらない生活を送ることができます。

甲状腺ホルモン(FT4)はTSHより先に正常になり、TSHはそれに遅れて6〜8週間ほどかけて下がってきます。

高齢の方や、狭心症・心筋梗塞などの心臓の病気がある方では、心臓への負担を避けるため、少量から始めて血液検査を見ながら慎重に増やします。

このような方では、FT4が基準範囲に入ってもTSHがまだ高いことがあります。その場合すぐに薬を増やさず、いまの量のまましばらく経過をみることがあります。そのあともTSHが高ければ、あらためて増量を検討します。実際には主治医と相談しながら、お薬を調整していきましょう。

一時的な甲状腺機能低下症
ヨウ素の摂りすぎや薬の影響によるものでは、摂取量や薬を調整することで甲状腺の働きが回復する場合があります。出産後の甲状腺の炎症でも自然に回復することがありますが、少数の方では甲状腺機能低下症が続くため、血液検査で経過を確認します。

甲状腺ホルモンが多い状態
原因によって対応が変わります。バセドウ病では抗甲状腺薬による治療を行います。無痛性甲状腺炎や亜急性甲状腺炎では、時間の経過とともに自然に改善することが多く、症状をやわらげる治療を行いながら経過をみます。

治療を始めてもだるさが残るとき

多くの方は薬を飲み始めて約1〜2か月で数値が正常になり、症状も落ち着きます。ただし、数値が正常になってもだるさが残ることがあります。

その場合に考えることは、大きく3つあります。

  • 薬の量がまだ合っていない。TSHはFT4に遅れて下がるため、量が落ち着くまでには数回の血液検査が必要になることがあります
  • だるさの原因が甲状腺だけではない。貧血、睡眠の問題、更年期に伴う変化などが重なっていることがあります
  • 回復に時間がかかっている。長く続いた機能低下では、数値が戻ってから体調が追いつくまでに時間がかかることがあります

数値が正常だから気のせい、ということではありません。残っている症状については、あらためて原因を一緒に考えていきます。

FT4が高いのに、TSHが低くないとき

ふつう、血液中の甲状腺ホルモンが増えると、TSHは低くなります。ところがまれに、FT4が高いのにTSHが低くならず、基準範囲内または高いままという結果になることがあります。

原因の一つが甲状腺ホルモン不応症です。体が甲状腺ホルモンに反応しにくいため、TSHが十分に下がらず、FT4が高い状態になります。症状のない方もいれば、動悸などが出る方も、反対に甲状腺機能低下症に似た症状が出る方もいます。

ただし、薬の影響、検査への干渉、下垂体の病気などでも似た結果になるため、1回の検査だけでは判断できません。測定方法を変えた再検査などを行い、順番に原因を確認していきます。

甲状腺ホルモン不応症は国内におよそ3,000人いると推計されています。一方でこれまでに報告されている症例は100名強にとどまり、診断されていない方が多い可能性が指摘されています。検査結果と症状が合わないときは、甲状腺を診療する医療機関で見直します。

健診で「異常なし」と言われた方へ

一般的な健康診断では、甲状腺の検査(TSH、FT4など)は標準の項目に入っていないことがほとんどです。「健診で異常なし」は「甲状腺を調べて異常がなかった」という意味とは限りません。

健診の結果票に甲状腺の項目があるかどうかを確認してみてください。項目がなければ、血液中の甲状腺の働きは調べられていません。だるさが続いている場合は、あらためて血液検査を受ける意味があります。

よくあるご質問

だるさだけで受診してもよいのでしょうか
はい。だるさは甲状腺機能低下症でよくみられる症状の一つです。血液検査で調べられますので、症状が数週間以上続いている場合はご相談ください。

甲状腺の検査は、どのくらい時間がかかりますか
当院では甲状腺ホルモンと自己抗体の迅速検査を院内で行っており、採血後約1時間で結果をご説明します。結果を聞くために再度ご来院いただく必要はありません。

健診で「コレステロールが高い」と言われました。関係ありますか
甲状腺機能低下症では、コレステロールが高くなることがあります。生活習慣を見直しても下がらない場合は、甲状腺の検査を受けてみる意味があります。

更年期障害と言われましたが、甲状腺も調べたほうがよいですか
症状が重なりやすく、起こりやすい年代も重なります。症状や経過を確認したうえで、必要に応じて血液検査で甲状腺の働きを調べます。

TSHだけが少し高いと言われました。薬は必要ですか
TSHが高くFT4が正常な状態を潜在性甲状腺機能低下症といいます。すべての方がすぐに薬を必要とするわけではありません。高い状態が続いているかを確かめたうえで、症状、年齢、心臓の病気、妊娠の予定などをふまえて判断します。

産後からだるいのが続いています
出産後数か月してから甲状腺の働きが変化することがあります。育児の疲れと区別がつきにくい時期ですので、長く続く場合は一度ご相談ください。

甲状腺機能が正常でも、だるさが続くことはありますか
あります。だるさの原因は甲状腺だけではありません。甲状腺の働きが正常であれば、貧血、睡眠の問題、ほかの病気なども含めて考えていく必要があります。

受診について

当院では、初診時に問診と診察を行い、必要に応じて当日に血液検査と超音波検査を行います。血液検査は採血後約1時間で結果をご説明できるため、結果を聞くために再度ご来院いただく必要はありません。結節の精密検査(穿刺吸引細胞診)や手術が必要と判断される場合は、隈病院をご紹介しています。

甲状腺の病気は内分泌内科・甲状腺内科で診ますが、どこにかかればよいか迷われることがあります。甲状腺の不調は何科を受診すればよいかで説明しています。

出典

このページの執筆者

窪田純久(くぼたクリニック院長・医学博士/日本甲状腺学会認定甲状腺専門医・評議員)
窪田創大(医師・医学博士/日本甲状腺学会認定甲状腺専門医、日本内分泌学会専門医・指導医、日本糖尿病学会専門医)

院長・窪田純久は、日本甲状腺学会の「バセドウ病治療ガイドライン2019」の作成委員を務めました。このページで甲状腺中毒症の症状の整理に用いているのは、同ガイドラインの記載です。

院長は、甲状腺を専門としない医師に向けた専門書『やさしく解説 甲状腺疾患の診断と治療』(南江堂、改訂第2版・2025年)も執筆しています。

  • 執筆した医師の経歴などがある医師紹介はこちら
  • 院長自身による日本語の解説をつけた英文論文18編はこちら

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